2013年4月6日土曜日

街なか居住のすすめ:6

日本全体を見てみると、日本の人口は2004年をピークに、すでに人口減少社会に突入しています。高齢化率はすでに総人口の2割を超え、世界第一位となっています。
こういった情報は色々な所で言われているので、情報としては皆知っていますが、なかなか実感が伴いません。しかし、グラフで見てみると、かなり実感が得られるのではないかと思います。

現在は、図示してある所で、これを見ればわかるようにピーク時からほとんど変わっていません。放物線の頂点近くにいるため状況変化は緩やかで、実感が得られないのはあたりまえなのです。グラフを見れば明らかなように、これから年を追うごとに急速に人口減少が進んでいく事になります。

このグラフを見て感じられることが他にもあります。
高齢化率がどんどん進むと言われていますが、高齢者の絶対数はさほど変わらない事がわかります。水色の幅は今まで急速に広がってきましたが、これからはあまり変わりません。これは近年、街を見ていると急速に高齢者が増えてきたように感じられる実感とも合致します。医療における革命的な技術革新がおこらない限り、寿命は大きくは変わらないでしょうから、高齢者人口の変化が少ないのだと考えられます。
子供の数は今までと同様少しづつ減り続けていきます。
劇的に減少するのが、黄色の部分、生産者人口です。全体の人口減は、ほとんど生産者人口減と言ってよいほど減少していくことがわかります。

このグラフは、現在を起点として前後50年を切り取った部分のみを見ていますが、もっと大きな歴史の中で現状を見てみると、現在は、歴史的に見ても衝撃的な変換点であることが確認できます。

これは、有史以来の日本の人口をグラフにしたものです。
先程のグラフは、丁度この赤く囲んだ100年を切り取ったものになります。
かつて日本は縄文時代にかなり大きく人口を減らした事があったようですが、基本的には常に日本の人口は有史以来増え続けてきたことがわかります。
少しづつ人口を増やしてきた日本ですが、江戸時代の約250年間で人口は約2倍になりました。
明治維新頃には約3000万人程度だった日本人は、ここから急速に増え続け、およそ150年間で約4倍にまで膨れ上がりました。もの凄いスピードです。

しかし、これからはその間の増加の速さに匹敵するスピードで人口減少することが予想されています。2050年代には人口が9000万人を割り込む可能性すら示唆されています。これから35年程度で3500万人減るという事は、毎年100万人づつ人口が減るという暴力的な減り方です。
第二次世界大戦では、約6年間で300万人(軍人、一般人共)の死者が出たということですから、戦争時の倍のスピードでこれから人口減少が起こるという事です。
現時点では人口曲線の放物線の頂点の近くにいる為、人口減少の実感が伴いませんが、これから間違いなくそのような社会に突入します。そして、その人口減少は、ほとんどが生産人口の減少という形で現れるのです。これは予言ではなく、統計的な予測であり、多少の誤差はあるでしょうが、大きな傾向としては避けられない、必ず来る未来だと考えられます。
さらに、人口減少は、大都市よりも地方都市の方が早く進んでいます。
地方都市の未来を考える上で、この状況を深刻に捉える必要があると思います。
既に人口減少局面に入っているのに、ドーナツ化を進めているような状況ではありません。
急速な生産人口減少は、行政の税収を直撃します。
このままでは、行政がインフラ整備に耐えられなくなるなるのも時間の問題です。
鳥取市が街ごと無くなってしまうかもしれないという可能性は、単なる絵空事ではないのです。
「ペッパー警部」大ヒットした1976年から、既に37年が経過しました。
今から37年後、2050年を迎える日本は、そう遠くない所まで近づいています。


以上の事を踏まえると、歩いて暮らせる市街地居住の再生は急務であると言えます。
今後、郊外住宅地が高齢化すると、定年退職により通勤しなくなるので街なかの駐車場利用者は減少します。
駐車場利用者が減少すると賃料収入が低下し、土地の利用価値が下落します。
街なかが駐車場だけになり、商店等がなくなってしまう所まで街なかの衰退が進んでしまうと、街なかの再生は非常に困難です。
街なかの魅力を維持するためには、まず人が街なかに多く住むことが必要です。

アンケートの結果からわかるように、鳥取市では現時点では街なかに住みたい方々が鳥取市民の2割程度もおられます。現在の所、それだけ鳥取市の街なか居住の魅力があるのだと言えるでしょう。この魅力があるうちに、街なかの再生が必要です。

街なかの再生に向けて、街なかに住宅供給を行う為には、街なかの土地の流動化を進める事が必要です。土地の流動化を促進させる為には、土地所有者が土地を供出する必然を生み出す必要があります。

キューブでは、積極的に街なかの住宅供給に取り組んできました。
街なかの土地所有者に参考にしていただく為、今までキューブが取り組んできた事例を中心に、次回より具体的な事業を紹介していきたいと思います。



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